最近、毎年のようにスズメバチによる被害をニュースでみます。
つい先日も、車椅子に乗ったお年寄りが刺されて亡くなられたという報道をみて衝撃を受けました。
よく「蜂に悪さをしなければ襲ってこない」と聞きますが、誰も好きで悪さをする人なんていませんよね。
運悪く、蜂の巣の近くを通ってしまえば、蜂は巣を護るために本能的に攻撃を仕掛けてしまいます。
私たち人間にとっては、蜂に刺されるのは運が悪い事故かもしれませんが、誰しもが起こり得ることなのです。
登山やハイキングなどのアウトドアでもし刺されたら?
今回は、蜂に刺された時の応急処置、跡が残りにくい方法や使いたい薬、アウトドアに持っていきたいモノまでまとめてみました。
では、蜂に刺されてしまった場合からみていきましょう。
まずは避難
蜂に刺されたのであれば、近くに蜂の巣があります。木の中だったり地中だったりと気付くことの方が稀です。
急いで避難するのは、ニ次災害を防ぐためです。蜂は毒針を使うとフェロモンが発生します。
このフェロモンは蜂の警戒サインです、これを嗅ぎつけた仲間たちが次から次へと一斉に襲ってきます。
1箇所でも激痛なのに、何箇所も刺され続けてはたまりません。
刺された瞬間は、電気が走ったような痛みでしょうが、まずは30メートルほど離れることを最優先にしましょう。
蜂も好きで人間を襲っているわけではありません、巣を護っているだけなので、悪気は無くても巣から離れなければいけません。
避難の仕方にもコツが
刺されてしまったり、蜂が飛び回っていると冷静に対処するのは難しいのですが。
手で払おうとしたり、モノを振り回すことは辞めておきましょう。
蜂は激しい動きに敏感です。
走って逃げるのが最善ですが、威嚇行動は逆効果でかえって刺激してしまいます。
冷静でいることは難しいのですが、この2点が避難の仕方になります。
- 速やかに離れる
- 激しい動きは行わない
応急処置
蜂に刺された時は、刺された患部だけでなく、数時間後にもアレルギー症状やショック症状が襲ってくることがあります。
アレルギー症状やショック症状は個人差がありますが、こちらの方が重症になり命にかかわります。
刺された患部を確認
まず刺された部分を、じっくりと見てみましょう。
ここで痛みがありますが、触ったり押さえたりしてはいけません。
なぜなら、蜂に刺されると、針は抜けて刺さっていることが多いのです。
この針の根本には、毒嚢(どくのう)という毒が入っている部分があります。
注射のようになっていて、毒嚢からの毒が刺さった針を伝って注入する仕組みになっているのです。
この針が刺さっているということは、毒が注入され続けている状態なので抜かなければいけません。
針の抜き方も重要
「針を指で摘んで抜き取る」をイメージされるでしょうが、間違ったやり方です。
ピンセットや毛抜きがあれば理想ですが、持ち歩いている人など少ないのであるもので代用しましょう。
そんな時は、硬いカードのような薄いもので横から薙ぎ払うようにしましょう。
運転免許証やクレジットカードなどがあれば代用できますね。
傷口を洗い毒を絞り出す
針を抜いたら、行いたいことです。
- 患部を冷やす
- 毒を絞り出す
この処置を怠ると、パンパンに腫れ上がったり、傷口に跡が残ったりするので必ず行いましょう。
患部を綺麗な水で洗い流すと同時に、冷やしておきましょう。
そして、「毒を絞り出す」なのですが。
理想は、吸引器(リムーバー)という道具があるのですが、持ち歩いている人などいませんよね。
アウトドア用品店などで手に入りますので、登山やハイキングを行うのであれば携帯しておくといいでしょう。
傷口の周囲を指でおもいっきりつまんで下さい。
目視では毒が出ているかわかりませんが効果があります。
流水で洗い流すのと交互で行うといいでしょう。
これらを行うことで、腫れを抑え傷跡を残すことを最小限に抑えることができます。
間違った毒の絞り方
一度は映画やドラマで見たことがあるかもしれません。
傷口に口で吸い付き、口で毒を吸い出す方法です。
この方法は蜂に刺された場合ではNGです。
蜂の毒などでは、飲み込んでもただちに毒がまわって症状がでることなどありませんが
少量すぎて上手く出来ませんし、口の中の歯茎などから毒が侵入する可能性もあります。
薬を塗って患部を冷やす
塗っておきたい薬です。
抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系の軟膏が適しています。でもこれだけでは意味がわかりませんよね。
虫刺されの薬には、必ずといっていいぐらい入ってい成分なので安心して下さい。
抗ヒスタミン成分とは、アトピーや蕁麻疹、虫刺されなどの痒み止めの効果がある成分
です。
ステロイド成分とは、炎症やアレルギーを抑える働きがあります。
後述しますが、蜂にさされた場合は数時間後にアレルギー症状が出ることが有り、怖いのはこのアレルギー症状です。
このステロイド成分が、アレルギー症状を抑えることを覚えておきましょう。
蜂にアンモニアは間違い
「蜂に刺されたら、オシッコをかけると良い」これは完全に間違いです。
よく年輩の人は口にすることがありますが、完全に根拠のない迷信です。
蜂の毒はタンパク質で構成されています、アルカリ性のアンモニアで中和したり分解することは科学的にも無理なのです。
オシッコをかけると、雑菌が入り違った病気になる恐れを招くだけなので辞めておきましょう。
アレルギー症状
蜂に刺されて、早ければ10分ぐらいでこれらの症状がでます。
- 全身のかゆみ
- 吐き気
- めまい
刺された患部が痛いのは仕方がないことです、全身に何かしら異常を感じるのであれば症状は深刻です。
このような症状が出始めたら何をしてても中断です、病院へ向かって下さい。
「蜂に刺された、気分が悪い」という理由で救急車を呼んでもまったく構いません、呼ぶべきです。
アレルギー症状やショック症状は、たかが蜂に刺されたという軽いものではありません、命を落とす危険すらある症状です。
アナフィラキシーショック
「ススメバチに2度刺されると命を落とす」1度は耳にしたことがありますよね。
正解ではありませんが、完全に間違いでもないのです。
アナフィラキシーショックというのは、蜂に限った話ではないのですが、1度受けた毒には免疫ができるのですが
この免疫にも個人差があり、人によっては2度目はアレルギー反応がでてしまい、症状が1度目より深刻に出てしまうことがあります。
蜂の毒によるアナフィラキシーショックが起こる確率は、1度刺されたことがある人で2%の確率とも言われています。
命のかかった確率です、決して少ない数字ではありません。
蜂の被害で命を落とす人は、国内でも毎年30人以上もいるという事実もあるのです。
蜂に刺されないための予防策
キャンプや登山など、自然が豊かな場所では蜂に遭遇する確率が高くなります。
予め行える予防策を取りましょう。
蜂は黒い色に攻撃的になる習性があります。
諸説いろいろありますが、ハチミツを取りに来る動物(熊とか)を本能的に攻撃するそうです。
出来る限り服装は、黒を身に着けずに白を身に着けるようにしましょう。
そして、特に忘れがちで大切なことは、人間の黒い部分は「頭」です。
帽子で、黒い髪の毛を隠すことを忘れずに行いましょう。
さいごに
蜂の話で面白い話をひとつ紹介します。
日本では、蜂の中でも怖いのはスズメバチですよね。
アメリカでも「キラービー」と呼ばれる、死亡事故を起こすミツバチがいるのです。
スズメバチはミツバチの巣を襲う習性があるのですが、それを利用してキラービーを駆除しようとしたアメリカ人がいるのです。
そう、日本のスズメバチをアメリカのフロリダ州に持ち込んだのです。
予想通り、キラービーを駆逐しスズメバチが増えていくのですが。
キラービーよりスズメバチの攻撃性の方が人間にとってよほど脅威となり、すぐさまスズメバチを駆除するはめになったそうです(笑